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初めての方限定体験&説明会

何度も読んでほしい日本の名作絵本 vol.8

「わらしべちょうじゃ」 植垣歩子 あすなろ書房
「わらしべ長者」は日本の昔話の1つで、源話は『今昔物語』および『宇治拾遺物語』に収められています。物語の舞台は奈良県桜井市初瀬の長谷寺といわれており、ブータン、朝鮮、イギリスなど世界でも似たような物語が存在するそうです。1年の始まりに相応しい縁起の良いお話。このお話を読む時に感じていただきたいポイントを3つご紹介します。
①温かみ溢れる絵今回ご紹介するのはあすなろ書房から出版されているこちらの絵本。植垣歩子さんの絵はとても優しく素朴で、ほんわか温かい気持ちになります。登場する人物、動物、さらには絵本の紙の質感まで温かみに溢れています。
 ②わかりやすい言葉遣いこの絵本の言葉遣いはとても優しく、小さなお子様でも非常にわかりやすいと思います。この時代の人々の暮らしぶりを感じつつ、現代風の言葉遣いにより、登場人物をとても身近に感じることができます。
③若者の優しい行いが幸運を引き寄せる「わらしべ長者」にはいろいろなバリエーションが存在し、大きく『三年味噌型』と『観音祈願型』に分類されるのだそうです。『三年味噌型』は、貧乏な男が長者の娘と結婚するために「わらしべを千両に変える」という条件に挑むというもの。一方『観音祈願型』は、貧乏な男がこの暮らしをなんとかしたいと観音様にお祈りし、夢に現れた観音様のお告げ通りに行動したために長者になったというものです。観音信仰が土台となっており、信じる者は救われる、という思想が根底にあります。この絵本は『観音祈願型』ですが、お話を読んでいくと観音様への信仰が運を引き寄せたというよりは、若者の素直で優しい行いが次々と幸運を引き寄せていったという印象を強く感じます。小さなお子様にも分かりやすく、心に響く内容ではないでしょうか。 1本のわらしべから大金持ちになった幸運な若者のお話。しかしその幸運がやってきたのは、日頃の若者の行いがあってこそ。ぜひ改めて読んでみてくださいね。




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