どろんこハリー   ジーン・ジオン　文       マーガレット・ブロイ・グレアム　絵        わたなべしげお　訳

ハリーは黒いぶちのある白い犬。何でも好きだけどお風呂に入ることだけは大嫌いです。ある日お風呂にお湯を入れる音が聞こえてくると、ブラシを咥えて逃げ出して・・。
1964年に発行され、約60年間愛され続けているこの絵本。今回はこの「どろんこハリー」をご紹介します。
作者のジーン・ジオンさんはアメリカ生まれの絵本作家です。絵を書いたマーガレット・ブロイ・グレアムさんとはご夫婦で、ハリーシリーズや「はるがきた」などの作品をご一緒に作っています。また翻訳のわたなべしげおさんは、エルマーのぼうけんやスモールさんシリーズなど、数多くの翻訳や絵本を手掛けた方です。この絵本は、なんといっても絵本中を元気に駆け回るハリーの姿が魅力的です。何にでも興味を持ち真っ黒になるまで遊ぶハリーの姿は人間の子どもそのもの。子どもたちもそんなハリーに自分を重ね合わせて見ているのではないでしょうか。だからこそ、うちの人たちに気付いてもらえず悲しそうなハリーの様子には一緒に悲しい気持ちになり、無事にお気に入りの場所でぐっすり眠るハリーの場面では心から安心し温かい気持ちになるのだと思います。読み終わった後はとても温かな優しい気持ちになる絵本。ぜひ読んでみてくださいね。