「こんとあき」
「こんとあき」 林明子作 福音館書店
こんはきつねのぬいぐるみ。あきが生まれてからずっと一緒です。ある日こんの腕がほころびてしまい、直してもらうため2人でおばあちゃんのいるさきゅうまちまで行くことになりました。2人だけの大冒険。さてどうなるのでしょうか・・?
作者の林明子さんの優しいタッチの絵は、「はじめてのおつかい」「あさえとちいさいいもうと」などでお馴染みですよね。小さな子どものちょっとした仕草、手の動き、表情などとてもリアリティがあり、柔らかな肌の質感まで伝わってくるようです。子どもって感情を全身で表現するんだなあと、林明子さんの絵を見ながら改めて感じます。あきの不安な気持ち、安心した時の気持ちなどありありと伝わってきて、子どもたちはすっかり感情移入して聞き入っていますし、大人は自分の子どもと重ね合わせて心をぐっと掴まれます。
こんは妙に世間慣れしているしっかり者かと思えばおふろを嫌がって逃げ出す子どもっぽさやとぼけたところもあり、とてもチャーミングなぬいぐるみです。こんがあきを安心させるように何度も言う「だいじょうぶ だいじょうぶ」は、読んでいる私たちの心も勇気付けてくれます。どんなことがあっても「だいじょうぶ だいじょうぶ」とおまじないのように唱えればきっとなんとかなるんだと思えてきます。