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「木はいいなあ」

「木はいいなあ」
ユードリイ作  シーモント絵  西園寺祥子訳  偕成社

絵を眺めているだけでひんやりとした森の空気、爽やかな葉っぱの香り、木の幹を触った時のごつごつとした手の感触が伝わってくるような絵本。今日はこの「木はいいなあ」をご紹介します。作者のユードリイさんは1928年アメリカのイリノイ州生まれ。シカゴ市の保育園に勤めました。そこで絵本の楽しさを知り絵本を書くようになったそうです。絵を描いたシーモントさんは「はなをくんくん」でもお馴染み。1915年にフランスのパリに生まれパリとニューヨークで美術を学びました。

この「木はいいなあ」は1957年、アメリカで出版された絵本の中で最も優れたものに贈られる賞であるコルデコット賞を受賞しました。その時シーモントさんは「こんなにはっきり作品の意図を素直に表している絵本の文は珍しいと思います。そのままついていっただけでこの絵を描くことができました」と言っています。ひねることなく、まっすぐに子どもに語りかけているような文章に「木はいいなあ」と素直にしみじみと声に出して言いたくなります。

この絵本は、実際に木に触れたり森を歩いた体験がたくさんある人ほど絵から想像を広げ、五感で感じた木の記憶を呼び起こし、よりリアルに感じられるのだろうと思います。実際の体験が読書体験をより豊かなものにするのでしょう。都会で暮らす現代の子どもたちにもそういった豊かな木との触れ合いの体験をたくさんしてほしいですね。

これから少しずつ秋に向かい、外で過ごすのが気持ちよくなる季節。「木はいいなあ」。親子でぜひ楽しんでください。

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