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いつも同じ絵本で大丈夫?繰り返し読み聞かせることの大切さ

子どもにはいろんな絵本を読んでほしい……そう思われる方も多いのではないでしょうか。
たくさんの絵本に触れてもらいたいと思っている中で、同じ絵本ばかり読んでとせがまれると、「またその本?」と思わず言いたくなってしまいますよね。
大人としては、読み聞かせのバリエーションを増やして多くの言葉を覚えてほしいと思うかもしれません。

しかし実は、「繰り返し読む」ことはお子さまの脳にとって、とてもいい刺激になるものです。
この記事では、同じ絵本を読み聞かせることの大切さについて、解説していきたいと思います。

心の満足感は繰り返しの中に生まれる
読み聞かせをする大人から見ると、いろいろな絵本を読むことが子どもにとって勉強になれば、と思うかもしれません。
読書をすることで、知識や人生の教訓を得てほしい……ついついそう願ってしまうこともありますよね。
自分の子どもには、もっといろいろな絵本を読んで「賢く」なってほしいと望んでしまいがちです。

しかし、絵本の読み聞かせでもっとも大切なことは、お子さま自身が得られる心の満足感です。
つまり、お子さまが絵本の世界に触れて、純粋に「楽しいな」と思う心を優先させてあげる必要があります。
そのために大事になってくるのが「繰り返し」です。

子どもというのは、何事も満足するまで繰り返します。繰り返すことで心の満足感を得て、さらに言えば、この繰り返しの中でいろいろなことを学んでいくのです。
そういう意味では、いろいろな絵本を1回だけ読み聞かせるよりも、同じ絵本を繰り返して読んだほうがむしろ学びも増えていくわけですね。

そして、お子さまだけでなく、親御さまのほうにも学びが生まれていくものです。
1度目、2度目、3度目で変わってくるお子さまの様子や、絵本に見られる絵の奥深さ、そして読み方の新たな発見など……。
お子さまのエンドレス・ルーティンに付き合っているうちに多くの気づきを得られ、親御さまもエンドレスに楽しめるかもしれませんね。

同じ絵本を読むことで語彙力や表現力が身につく
また、同じ絵本を繰り返し読むことの大きなメリットとして、「語彙力、表現力が身に付きやすい」ということがあげられます。
言葉を覚えるには、やはり繰り返しが大切です。同じ絵本を読んでいれば、おのずと同じ言葉を何度も頭に入れることになるので、語彙力や表現力が身についてくるわけですね。

私の息子が保育園に通っていた頃、『かいじゅうたちのいるところ』という有名な絵本を気に入って、何度も読んでいたことがあります。
最初のうちは、絵本に描かれたファンタジーの世界観をぼんやりと楽しんでいる様子でした。特に大きなリアクションもなく、なんとなく話を追っている感じです。

それが何度も読むうちに、だんだんと物語の展開がわかってきたようで、
「もうすぐ怪獣が踊るよ!」
「やっぱりね!」
と、お馴染みの展開におもしろさと安心さを感じるようになっていました。

そして最後の頃には、「1しゅうかん すぎ 2しゅうかん すぎ、ひとつき ふたつき ひが たって、 1ねんと 1にち こうかいすると、 かいじゅうたちの いるところ」などと言葉に出すようになり、絵本独特の言葉づかいに興味を持っている様子でした。

それだけでなく、「にょきりにょりきと木が生えているよ」といったように、絵本のセリフをそのまま日常生活でも使うようになったのです。
特に言葉を教えたわけでもないのに、同じ絵本を何度も読んだだけで、自然と体の中に言葉が入っていったのは驚きでした。と同時に、言葉を覚えてまた一歩成長したんだなと、大きな喜びでもありました。

そしていつの間にか、この絵本を読んでとお願いされることはなくなりました。何度も読んで自分なりに満足したのか、心の中でキリがついたのか、他にもっと興味のあることが出てきたのだと思います。

心の満足感を得ると同時に、言葉の知識も身につける……まさにこのことを実感した瞬間でした。

定番の絵本を読み聞かせる
同じ絵本を読み聞かせて成長を感じた、もう一つの例を紹介します。

当教室に通って頂いているYさんのお宅では、お子さまが赤ちゃんの頃から『じゃあじゃあびりびり』という絵本がお気に入りだったそう。2歳になった今でも、手を洗うときや公園で池を見つけたときなどに「みず じゃあ じゃあ じゃあ」と、絵本で出てくる言葉をそのまま口に出すそうです。

さらに、お掃除のお手伝いのときなんかは「そうじき ぶいーん ぶいーん ぶいーん」と自然に言葉が出てくると同時に、その動きをマネしているのだとか。何度も同じ絵本を読んでいくうちに、動作まで覚えてしまったわけですね。

いろいろな絵本を読む「多読」よりも、一冊の絵本を繰り返し読むほうがかえって言葉を習得できる……そう実感したYさんは、絵本の定番を作って読み聞かせているそうです。Yさんは『ぐりとぐら』、Yさんのお母さまは『ももたろう』が大好きで、ご家族でそういったお互いの好きな絵本を読み合っているとのこと。読み手も聞き手も暗唱できてしまうくらい、たくさん読んでいるみたいです。

そうやって、子ども時代のみずみずしい感性で何度も味わった絵本や、自分の原点となる絵本があるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。

お馴染みの絵本をたくさん読むことで、語彙力や表現力は自然と身についていきます。
お子さまも親御さまも、お互いに何度も楽しみながら、一冊の絵本をじっくり味わっていけるといいですね!

まとめ
今回は、同じ絵本を何度も読む大切さについてお伝えしました。

いろいろな種類の絵本を読んであげたいと思われるかもしれませんが、お子さまが同じ絵本を読みたいと言った場合は、ぜひ1冊の本を繰り返し読んであげてください。それによって、お子さまの心が満足し、さらには多くの言葉も自然と身についていきます。

同じ絵本を何度も読み聞かせるのは、大人にとっては大変ですよね。しかし、数年後にはとてもいい思い出になりますので、ぜひ繰り返しの読み聞かせに付き合ってあげてください。大きくなったお子さまに、「あなたはこの本が大好きで、本当に何度も読んだのよ」と笑って教えてあげてほしいと思います。

最後に、今回取り上げた絵本をご紹介します。
気になる方はぜひチェックしてみてください♪

●『かいじゅうたちのいるところ』 モーリス・センダック 作、神宮輝夫 訳、冨山房

  

●『じゃあじゃあびりびり』 まついのりこ 作、偕成社

  

●『ぐりとぐら』 中川李枝子 作、大村百合子 絵、福音館書店

  

●『ももたろう』 松居直 文、赤羽末吉 画、福音館書店

 

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